すれちがいの婚約者 ~政略結婚、相手と知らずに恋をしました~
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ふわりと彼女が笑う。
その表情はキーマには見せたことの無い表情で、自分ではあるがベルデに嫉妬を覚えてしまいそうになる。
それでも、彼女がそうやって自然に笑ってくれるのは嬉しく感じる。
「部屋まで送ろうか?」
「いえ、大丈夫です」
断られるのが判った上での言葉だが即答され、内心苦笑する。
彼女の後姿を見送った後、スっと後を付けるように一人の男性が図書館を出ていく。
キーマの護衛のひとりコーキだ。
毎回、彼女に気付かれないよう部屋まで見届けさせて報告させているのだ。
「早く、彼女に本当の事を話さないとな…」
隠しているのは意図的ではあったが、本気で調べればすぐ正体などバレる。
「けど、彼女も少しは察するべきだよな」
小さく呟く。
図書館内に設けられている個室部屋のひとつに入る。
その部屋の書庫にはタイトルの貼られていない書類の束が並んでいる。
今まで自分で調べまとめた資料などが整理され、鍵のついた木棚の書庫は開けられないようになっている。
コンコンと扉がノックされ、二人の男性が入ってきた。
「何事もなく戻ったぞ」
「わかった」
「会議まであと数日、王太子からの書状を預かってきました」
侍従のシリンが封のされた封書を差し出す。
封を破り目を通し終えると、シリンが準備していた水を入れたカップに紙を浸す。
ほんの数秒で紙は形を失って溶けていく。
「ようやく動き出したか?」
ふわりと彼女が笑う。
その表情はキーマには見せたことの無い表情で、自分ではあるがベルデに嫉妬を覚えてしまいそうになる。
それでも、彼女がそうやって自然に笑ってくれるのは嬉しく感じる。
「部屋まで送ろうか?」
「いえ、大丈夫です」
断られるのが判った上での言葉だが即答され、内心苦笑する。
彼女の後姿を見送った後、スっと後を付けるように一人の男性が図書館を出ていく。
キーマの護衛のひとりコーキだ。
毎回、彼女に気付かれないよう部屋まで見届けさせて報告させているのだ。
「早く、彼女に本当の事を話さないとな…」
隠しているのは意図的ではあったが、本気で調べればすぐ正体などバレる。
「けど、彼女も少しは察するべきだよな」
小さく呟く。
図書館内に設けられている個室部屋のひとつに入る。
その部屋の書庫にはタイトルの貼られていない書類の束が並んでいる。
今まで自分で調べまとめた資料などが整理され、鍵のついた木棚の書庫は開けられないようになっている。
コンコンと扉がノックされ、二人の男性が入ってきた。
「何事もなく戻ったぞ」
「わかった」
「会議まであと数日、王太子からの書状を預かってきました」
侍従のシリンが封のされた封書を差し出す。
封を破り目を通し終えると、シリンが準備していた水を入れたカップに紙を浸す。
ほんの数秒で紙は形を失って溶けていく。
「ようやく動き出したか?」