あの夏、君と。〜もう一度笑って〜


『……何したの……??』

美奈子は、何が起こったか分からない様子。


『…痙攣してる心臓を落ち着かせただけだよ。私は人魚だから。ちょっとした特殊能力と言うかなんと言うか……。』

『……人魚……』


『足もこの通り』と尾びれを見せた。



美奈子は、立って、海の方へ進んでいく。


小さな手に水を汲んで、私の足にかけた。


『人魚さんは、乾いたら、ダメ……でしょ……?』


何度も海と往復して、水を汲んでは私の足にかける。



『……私は、人魚さんみたく祥ちゃんを治せない……!だから、治せる人魚さんに祥ちゃんが目を覚ますまで……!!』


ボロボロ泣きながら、自分の非力を嘆くわけでなく、

今自分に出来ることを。



10分後ーー。




『……ん……。あれ……??美奈子……??』



祥ちゃんは目を覚ました。


『祥ちゃん!良かったよ……!!』


『……えっと……??』

私を見て、キョトンとしていた。

『祥ちゃん、この人魚さんが祥ちゃんを助けてくれたんだよ……!』


『……人魚??』


尾びれを見て、私の顔を見つめる祥ちゃん。



『人魚さん、助けてくれてありがとう』

祥ちゃんは微笑んだ。


『う、ううん!助けれて良かった!』


私も笑顔で返す。


『祥ちゃん、今日はもう帰ろう……??』

美奈子は祥ちゃんの体を支えた。


『そうだね、人魚さん、また明日ここに来ていい?お礼がしたいんだ!』



私もその申し出にはすごく嬉しかった。


だけど……。


『ごめん、約束は出来ない……。お母様に怒られちゃうから……。あと、私の事は人に話さないで……』



祥ちゃんと美奈子はしょんぼりしていた。


『わかった、なら会えるまで海に来るよ!!』


祥ちゃんは太陽な笑顔で。
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