極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
柴乃ちゃんに言われて、私はカバンから手鏡を取り出すと、自分の首を確認した。

すると、確かにそこには赤い痣のようなものがふたつほどついている。

これはきっと……。


「あのさ、桃子? とても聞きづらいんだけど、それってもしかして……」


そういう経験が私よりもだいぶ豊富な柴乃ちゃんは勘づいたらしい。

私の首の赤い痣をじっと見つめながら、しばらくすると大きく目を見開いた。


「やっぱりそうだよね。でも、待って……。だって、昨日は桃子、吉田とは食事しなかったんでしょ。でも、どう見ても首のそれはキスマーク……」


動揺したように、柴乃ちゃんの瞳が私を見つめる。


「えっ、相手は誰? 桃子、あんたいったい誰とエッ――」

「ストップ!」


たくさんの人が行き交う駅前で、大声で告げるには恥ずかし過ぎる単語を放とうとした柴乃ちゃんの口を、私はとっさに手で塞いだ。
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