極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
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午後の就業開始時刻になり、私は秘書室のある最上階フロアをとぼとぼと歩いていた。
同期との楽しいランチタイムのはずが、なぜか疲れが溜まってしまい気分が重たい。
結局あの後、柴乃ちゃんの提案を断れなくて、彼女の知り合いの男性と食事をすることになってしまった。その日を思い浮かべると、今からため息がこぼれてしまうほど憂うつだ。
強引にセッティングされてしまい、断れなかった気の弱い自分にも情けなくなる。
気分はずんと重たい。でも、そろそろ仕事モードに切り替えないと。
私は、ふぅと小さく深呼吸をしてから、両手で軽く頬をたたいた。
「よしっ。大丈夫」
これが仕事に入るときのいつものルーティーン。
引っ込み思案で人見知りの自分を消して、秘書としてきちんと業務をこなすための自分だけの儀式だ。