極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
‟お米のおかわりをしてもいいかな? この厚揚げの料理が美味しくて、お米が進むんだ”


あの日、お肉の代わりに厚揚げを使った回鍋肉風の節約料理を、千紘さんを美味しいと何度も言ってくれた。

そのあと、彼に告白をされたんだ。


‟俺と、結婚を前提に付き合ってほしい”


そう言ってくれたのに……。


思い出したら、涙がぽろぽろと零れてきた。

そのせいで、口に入れたおにぎりがしょっぱい。それでも口に含んで食べていると、チェストの上に飾っている写真立てがふと目に入る。

そこには、赤ちゃんの私を抱っこしている母親の姿が映っていて……。

もしもこのまま千紘さんと別れることになって、それでもお腹の中の彼の子供を一人で産めば、私は母と同じ道を辿ることになる。


――ずっと知りたいと思っていた。


母は、私を身籠ったときどう思ったのだろうって。

でも、母と同じ状況になりそうな今ならその気持ちが少しだけ分かるような気がした。


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