極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
自分が母と同じような状況になって知ることができた。

結婚できるのか分からない相手の子を妊娠してしまったとき、動揺と戸惑いと心細さが一気に押し寄せてきた。決して手放しでは喜べなかった。

それでも、気が付くとお腹の赤ちゃんが愛しい存在に変わっていた。この先どうなるかは分からない。でも、産まないという選択はしたくない。

きっと母もたくさんの葛藤の末に、私を生むと決めたのだと思う。


『それからは毎日幸せそうにお腹を撫でながら話し掛けている姿をよく見たよ。相手の男性とは事情があって別れてしまったみたいだけど、大好きな人に変わりはなくて、お腹の子はその人との間にできた子だから、無事に産んで大切に育てるんだって。桃ちゃんのお母さんは幸せそうに笑っていたのよ』


祖母の話を聞きながら、思わず視線がチェストの上に飾ってある写真立てへと向かう。

そこには、まだ小さな赤ちゃんの私を、両手で大切そうに抱えて笑顔を見せる母の姿がある。
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