極上社長に初めてを奪われて、溺愛懐妊いたしました
座り込みながらしばらく泣いていると、玄関のチャイム音が聞こえた。

もしかして、祖母が送ってくれたさくらんぼが届いたのかもしれない。

涙を拭くと、私はゆっくりと立ち上がった。

すると、再び玄関のチャイムが鳴り、そのあと扉をドンドンと叩かれる。


「はい。今、行きます」


ずいぶんとせっかちな宅配業者さんらしい。

急いでリビングに戻ると、配達のサインをするための印鑑を持って玄関へと向かう。


「お待たせしました」


そして、玄関の扉を開けたときだった。


「えっ……」


誰かに思いきり抱き締められて、視界が真っ暗になる。

な、何⁉

突然のことに驚き、身動きができない。

でも、爽やかで甘い香りが鼻をかすめた瞬間、私を抱き締めているのが誰なのかすぐに気が付いた。
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