秘密事項:同僚と勢いで結婚した

「あっ、夏の大三角形…!」

「どれ?」

「あそこ!」


綺麗に三角形を作りあげる星を指差して、私は穂高くんに位置を教える。同じ目線になるように彼は顔を近づけて、私の指先の空を眺めた。


「ん?何処?」

「もう、あそこだって」


指先を何度か手首を使って揺らして、さらに指し示すとフッと視界から星が消えた。


「……んっ…….」


唇に柔らかい感触を感じると、『ちゅっ』というリップ音が聴こえる。

状況を整理し終えた数秒後、カッと頬に熱を帯びて私は何とも言えない声をあげた。


「なっ…何して…」

「何ってキスだけど?」

「待っ……えぇ…」

「反応可愛い。」


頬の熱を冷ましたくて手の平を頬に当てる。アルコールのせいではない火照り方に、私は目を泳がせた。


「葉山」

「っ…なに…?」

「今日の服装似合ってる。可愛い。」

「……うん…」


何も変わらないなんて間違っていた。


だってこのキスひとつできっと…。


(心臓…うるさい……)


意識せずにはいられない。





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