秘密事項:同僚と勢いで結婚した
たらふくになって夜道を歩く私は、美味しい料理の余韻に浸りっぱなしだった。
「割と飲んでたな。ワイン。」
「うん…!うふふ!すごく美味しかったし。明日休みだから気分良く酔えてる〜」
「……いや、酔いすぎ…」
何処からともなく笑みが溢れてしまう。穂高くんが言うように、私は『いつも以上に酔ってる』かもしれない。
気分がいい。晴れやかな気持ちだ。
結婚してから、少しだけ穂高くんとの距離感に悩んでいた節があった。でもそれが今日、一緒にレストランで美味しいものを食べたことによって変わらない接し方で良いんだと気づくと、どうもお酒が止まらずに進んでしまった。
「俺の前だけだけだからな? そんなに酔って良いの」
「え〜心配しなくても、こんなに酔ってるのは気を許してる穂高くんの前だけだって〜」
「………そう…」
「っ!それより見て見て!星がすごく綺麗!」
ぼーっとしながら天を仰いで眼に映った満天の星。綺麗なものを共有して、これからも仕事や生活を共に頑張って行こう、とスポ根漫画みたいに情熱を露わにして結束力を高めようと思った。