秘密事項:同僚と勢いで結婚した


「千智くん、いらっしゃ〜い!李はおかえり! 待ってたわ〜」


母の話し方は何処までも緩い。それに反して父は…。


「いらっしゃい。ゆっくりして行くといいさ」


何処までも静かな物言い、かつ温和な感じだった。


「お邪魔します。お母さんとお父さんが好きだと李から聞いたので…。」

「あら〜! 和菓子? そうそう、大好きなのよ〜」

手土産として用意していた和菓子を、礼儀作法完璧に穂高くんは母に手渡した。お父さんも嬉しそう。

……さすが営業マン。

笑顔はキラキラしているし、姿勢やら何やら眩しい。
仕事ができる男の人って感じがする穂高くんの雰囲気に穂高くんを弄りたくなってしまった。


(ていうか…サラッと李って…)


不慣れ過ぎて、ほんの少しだけ顔が熱くなったこと、絶対に穂高くんには知られないようにしようと心に決めた。

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