秘密事項:同僚と勢いで結婚した
数秒間、何が起こったのかわからずにただ呆然とキスを受けていると、ヂュっという音を立てて舌を甘く吸われた。それにハッとして、煩く騒ぎ立てる心臓を落ち着かせるように鼻で呼吸し、葉山の動きに合わせて絡める。
そして聞こえてきた言葉に、泣きそうになった。
「……………好き……」
恥ずかしそうに顔を紅潮させて、真っ直ぐに目を合わせると口を硬く結んで頬を膨らませる。
(……可愛い…)
次の瞬間、無意識に、本能のままにもう一度キスをしていた。
「んっ……」
「好きだ…」
「ぅ…ん…」
「……好き…」
口をついて、気持ち悪いくらいに想いが溢れるから。
(………止まんない…)
涙を浮かべている目尻に唇を這わせる。次に赤い頬、口の端、額。
「待って…穂高くん…!」
「……なに?」
「…………腰…………抜けた…」
しゅるしゅると姿勢が低くなり、葉山は玄関の段差にストンと座り込んだ。悔しそうな表情で拗ねているのを気づかないフリして、視線を合わせるように俺はしゃがむ。