先生がいてくれるなら①【完】

* * * * *


放課後の数研部室──。



「立花さんのクラス、初日のステージは何するの?」


数研部長である三年生の葉澤先輩が、各クラスの出し物の聞き取りをしていた。


「ステージは雄志のダンスです。模擬店はありきたりですけどコスプレ喫茶に決まりました」


私がそう言うと、なぜか部員全員から控えめながらも「おおーっ」と声が上がる。


「立花さんは、ダンス出るの?」

「いや、出なきゃ駄目だよ」

「──それよりコスプレは、どんなのを着……」


部員が口々に意見を言っているので、何を言ってるのか全く聞き取れない状況になってしまった。



「はい、静かに!」


そう言って割って入ったのは、ジキル博士──いや、藤野先生だ。


「立花のクラスは分かったから。次、一年の出し物の聞き取り」

「……じゃ、1年1組の出し物は──」


先輩が一年生5人の出し物を聞き取って、ノートに記録する。


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