異能者達の宴~夢の競演特別編~
それは突然の事だった。

機関の本拠地を探し、壊滅させる為の旅を続けていた俺達の前に現れた一人の男。

そいつは有無を言わさず俺達に襲い掛かり、覚醒者の一人…『4号』ななみに重傷を負わせた。

覚醒者の中では高い戦闘能力を誇る発火能力の持ち主、『3号』の俺でさえ、奴を足止めするのが精一杯だった。

これでも黛さんから格闘術を習い、体術も習得して強くなったというのに…!

「ななみの傷の具合はどうなんだ?」

俺は黛さんに歩み寄る。

「…やっとお腹の傷口からの出血が止まったところよ…」

ハンカチでななみの額の汗を拭き取りながら黛さんが言う。

「だけど、しばらくは安静にしていないとまた傷口が開いてしまうわ。意識も朦朧としているみたいだし…ここからの移動は無理ね」

「そうか…」

俺は歯噛みする。

いつ、奴がこの場所を嗅ぎ付けるかわからない。

できる事ならば早いうちに距離を稼ぎたいところだが、確かにななみがこの状態では…。

「ななみちゃんの容態が安定したら、私が薬や包帯を調達してくるわ」

黛さんが俺を見上げた。

「単独行動は危険だ」

「大丈夫よ」

かすかに黛さんが微笑む。

「いざとなれば、私には瞬間移動があるもの。逃げるだけなら…」

そこまで言いかけて。

「!」

黛さんは何かを察知したように表情を固くした。

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