異能者達の宴~夢の競演特別編~
とはいえ、たった二人だ。

あの異形者とまともに張り合うには戦力不足。

「ななみちゃん」

俺は振り返る。

「多分俺と哲平大怪我するから…手当ての準備よろしく」

「え…?」

少し驚いた声を上げるななみちゃんに背を向けて。

「いくぜ哲平!」

俺は左目の呪眼に魔力を流し込んだ。

イメージするのはロケットランチャー。

もう出し惜しみしている余裕はない。

残る魔力を全て注ぎ込む。

半身になって右手をかざし。

「いっけぇえぇっ!」

巨大な魔力の矢を撃ち放つ!

矢は一直線に飛んでいくものの。

「!」

異形者は先程までは見せなかった敏捷な動きで、矢を回避した。

奴め、運動能力まで向上したっていうのか!

だけど。

「その程度想定内だよ」

俺はニッと笑う。

回避された筈の矢が…「!」

軌道修正して、再び異形者目掛けて飛翔、見事直撃した!

俺は魔力の矢に『追尾』の効果を付加させていたのだ。


< 34 / 66 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop