異能者達の宴~夢の競演特別編~
確かに。

次々と火球を放って私と紅を牽制する哲平。

この攻撃を掻い潜りつつ、彼を異形者の呪縛から解き放つ方法を見つけ出すのは至難の業だ。

いっそ一思いに、気絶でもさせてしまうか。

私はカタナを握り締める。

と。

「!」

私の背中に、何かが触れる感触。

振り向くと。

「……」

一人の少女が、私の甲冑の背中に手を当てていた。

「…哲平さんを…助けてあげて…」

人形のように、愛らしくも表情のない顔。

しかしその瞳には、不安と憂いが溢れている。

…私はその少女…ななみのその瞳ですぐに察した。

彼女は哲平を心から心配しているのだ。

恐らくは哲平に対し、仲間以上の感情を抱いているに違いない。

「案ずるな」

私はななみの柔らかな髪をクシャッと撫でる。

「戦乙女の名に賭けて、哲平は助け出す。約束しよう」




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