俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「それは好きだから。ダメ。ダメダメ。麗華が男と密会なんて、麗華の処女が奪われるなんて、俺死んじゃう!」
「………」
…毎晩女で遊んでる輩の、どの口が言う!
麗華さんが処女?
本当かはわからないけど、そんなことここで大声で言うの、やめてくれる?!
兄貴の身勝手理不尽極まりない発言を、残念に感じてため息をついていたが。
息をつく間もなく、今度は別の登場人物がエレベーター前に現れた。
その姿を見て次に仰天するのは、俺だったりする。
(…えっ?!)
エレベーター前に、駆け足で登場した。
先程の麗華さん以上に急いでいる様子で、焦りの表情もプラスされている。
まさかの人物の登場に、心臓が飛び出そうなくらいの衝撃だった。
はっ…なずな?!
…先程、俺とモメた挙げ句、逃げ出したヤツの姿が。
何で、ここで登場?!
突然の登場人物は、エレベーター前で立ち止まり、上の表示をじっと見つめながら、慌てて上行きのボタンを連打している。
その押し方は尋常じゃなく、本当に急いでいるようだ。
なずなも上に?
だいぶ走ってきたのか、相当息をきらしている。
まるで、慌てて麗華さんを追いかけてきたような…。