俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
「…ちっ!」
何の攻撃か気付いたのか、彼は咄嗟に頭を伏せる。
しかし、頭上からは外れたもの、残してしまった背中、肩甲骨の間辺りに竜堂の踵が炸裂した。
重く鈍い音を鳴らした後、重力に引っ張られる以上のスピードで、彼の体は俺たちのいる地上へと叩き付けられ、地を揺らしていた。
わわっ。なずなに負けない踵落とし…!
すると、俺の背後に未だ隠れている(…)彼女も「ひいぃぃ…」と、恐怖の呻き声を漏らしていた。
「我が彼氏ながら恐ろしい…ひいぃぃ…」
「………」
…え?彼女なの?
地上では爆風が立ち込める。
風が止み始めると、踵落としで叩き付けられた彼の姿が確認できた。
その身を起こそうと、ヨロヨロとしている。
「…いちいち頭にくるね…拉致があかない」
「は?」
アクリル板の階段を飛び降りて、竜堂が地上に戻ってきた、まさにその時。
「…拉致があかないって、言ってるんだよ!」