俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

八つ当たり気味に声を張り上げる、黒い翼の彼。

背中の羽根をバタバタ動かしている。

と、思ったら、それはどんどん激しくなり、のたうち回っているかのように、獰猛な動きになっている。

それはまるで、怒りを表現しているかのよう。



「…おまえなんか、相手にしてられないよ?『乾闥婆王』の従者?」



何度も翼をバサバサしているせいか、辺りには細かく小さな黒い羽根が舞い始めた。



「…そんなに、ボコボコやっていたいなら、こいつとやり合えばいい」



すると、彼の獰猛に動く黒い羽根の中から、黒いモヤが徐々に吹き出していた。

そして、黒いモヤは一箇所に集まり、大きめの人のカタチを象る。



…いや、人、ではない。



「…さあ、僕の代わりに暴れてくれ?…団十郎鬼」



また、鬼だ。

赤褐色の肌色を持ち、頭にはフサフサのロン毛からマンモスの牙のようなツノが3本生えている。

一見、小麦肌のロン毛?チャラ男?

とも思ったが、その太く長いツノと筋肉ムキムキ丸出し上半身裸の見てくれは、明らかに人間ではない。

でも、今までお会いした鬼と比べると、人っぽい。

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