俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~

「…あの二人ねぇー?未だに優さんがああなったのは自分のせい、って言い合って、勝手に自責の念に駆られてんの。橘社長は『アイツが狙ったのは俺だから、俺のせい』って言い張るし、なずなはなずなで『私の無力のせいで、しゃちょーは悪くない』って…橘社長となずな、揃って自責の念親子だよ」



そう言って、苦笑いを浮かべる綾小路室長。

やれやれ…といった表情だ。



「剣軌くんも『それは違う!』と否定するの、いい加減疲れたみたい。もうなんとかしてあげてー。なんて」

「………」



おじさんとあの黒い翼の彼に接点があって、おじさんをどういう人間なのか、人間関係をも知っていたのかは、わからないけど。

もし、知っていたのだとしたら…それは、おじさんの心理を巧みに利用した、狡猾な罠だ。

…いや、彼は知っていたんだと思う。

おじさんにとって、親父は主で。

なずなが娘だということも。



ターゲットを傷付けるだけではなく。

取り巻く周りの人々をも、傷付けた。



(………)



菩提さんの言う『クソヤロー』も、あながち冗談ではないのかもしれない。


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