俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
当時の俺には何の関係もないことかもしれない。
しかし、身内に起こった事件である以上、他人事でいられなく感じるのは、何故か。
でも…事の真相を確かめて、ホッとした自分もいる。
おじさんが重傷を負ったのは、親父のせい…ではない。
そう見せかけた、狡猾な罠。
おじさんが未だ重傷であることには変わりないから、ホッとするのは不謹慎かもな。
「…だから、伶士くんがなずなに負い目を感じる必要はないんだよ?」
「え…」
考えていることを見透かされたような気がして、ドキッとしてしまう。
顔を上げると、目の前の綾小路室長はなぜかニヤニヤとした笑みをこっちに向けていた。
「君は優しい子ですから。罪悪感を抱いてその恋心を潰して諦めてしまうんじゃないかと思って。思い悩んだのではないですか?」
「えっ…」
思い悩んだ…か。
「…そんなのは、もったいないですよ」
そんな言葉を投げ掛けられては、ずいっと顔を覗き込まれる。
「そんな過去のために、自分の想いを殺してしまうなんて」