俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
結界の防御も何もなしに、突っ込んでいったんだ。
いくら手練れの親父でも、あの規模の術。
タダじゃ済まない…!
『親父、親父っ!…ああぁぁっ!』
自分の至らなさに後悔し、その罪悪感を拭いたくて、駆け込んできた私は、親父に何度も叫びかける。
『なずな…なずな』
親父は朦朧としながらも、その唇を動かしてブツブツと囁いているようだ。
『いる!私ここにいるよ!…親父、私が不甲斐ないばかりに、ごめん!ごめんっっ!…嫌だ!死なないで!嫌だぁぁっ!』
『…なずな』
『親父いぃぃっ!』
『loveyou…』
意識が朦朧としているはずの親父は、私に震える手を差し出す。
その右手は、白く鋭く輝く光が。
これは…!
…前に一度、見たことがある。
《…神童の神力を、従者に与えん…》
《私のすべてを、あなたにあげる…夏輝》
『開印』の呪と、慈しむ言葉と。
この白金の光、『神光』の譲渡。
これは、『絶対従者』契約だ…。
神童の『相殺』と『禁呪』以外の力を、神童の代わりに行使することが出来る、術者。