俺のボディガードは陰陽師。~第四幕・夜に抗う~
それにしても、興奮しすぎじゃないか?
ステーキを見つめるなずなの目は、少女マンガの登場人物のようにキラキラしていて、時々「えへへ…」と、照れ笑いしている。
「肉、肉!久しぶりの肉だ!おおぉぉ!」
「…感動しすぎじゃね?病院の食事でも肉出るだろ」
「あれは肉ではない!…あんなペラペラの木端のようなカス肉、肉とは言えないぞ!」
「へ、へぇ…」
「今日の昼だってな?トンカツっていうからワクワク楽しみにしてたっていうのに、出てきたものは、衣がふにゃふにゃのゴム草履みたいな肉だった…あんな肉汁吹き出ない薄っぺらいトンカツ、トンカツではない!」
「へぇ…」
「しかも、病院の食事は野菜、野菜、野菜ばっかりで、サラダや和え物ばかり…あんな緑のべちょべちょした食い物、食い物じゃない!ううぅぅ…」
「………」
「実は今も『食事も治療のうちだからちゃんと食べなさい!好き嫌いはダメ!』って、看護師に怒られてたんだ…ううぅぅ、あんなの人間の食い物じゃない…」
「………」
見たところ、なずなは本気で悲しんでいる。
なぜ、こんなにも憂鬱で悲壮感が漂っているのか、理解し難い。