記憶シュレッダー
わからないことだらけなのに、体は勝手に動く。


鏡台の前に座ったあたしは髪の毛をアップにしてお団子に結び、カバンから取り出したキャップをかぶった。


それはあたしを追いかけてきた変質者を思わせて、一瞬心臓が凍りついた。


どうしてあたしはこんな格好をしているんだろう?


どうして……?


ジーンズとTシャツという格好になり、バッグを持って外へ出た。


家を出てすぐ角を曲がり、大通りからそれる。


その先には小さな公園がある。


今の時間はもう誰も遊んでいないはずだ。


それでもあたしの足は自然とそちらへ向かっていた。


公園が見えてくると歩調を緩め、公園内を確認する。
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