記憶シュレッダー
『そろそろやりたくなってきたんでしょう?』


その問いかけに反応するように、体の血が騒ぐのを感じた。


なにかをやりたいという強い願望が湧きあがってくる。


ソレがなんなのかサッパリわからないまま、あたしは立ちあがっていた。


頭の中は真っ白で何も考えられていない。


それなのに、あたしは手慣れた調子でキッチンから包丁を一本取り出した。


それを持って階段下にある収納庫を開ける。


ここは滅多に開くことのない場所だ。


あたしは収納庫の中にある黒いボストンバッグを引っ張り出した。


このバッグは誰のものだろう?


お祖父ちゃんが持っていたものだろうか?


記憶にないバッグを開けると、そこにはロープやガムテープ、キャップ、着替えなどが入っていた。


一体なにに使うものだろう?


あたしはどうして、このバッグがここにあることを知っていたんだろう?
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