背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「ちょ、ちょっとキツイんだけど……」

 ギュッと帯紐を締めるママに向かって言った。


「いいのよ。背筋が伸びてピシッとなるでしょ? さあ、出来たわ」


 上品に夜会巻きに結い上げ、淡い水色に品よく紫陽花が並ぶ着物を着せられた。

 梅雨明けの暑い中、何時間、この窮屈さを我慢するのだろうか?
 鏡に映る自分の姿にげんなりする。


「あんた本当、和服がよく似合うわよね。この柄にして良かったわ。おじい様が奮発してくださったから」

 母は満足気な笑みを見せた。

「うん」

 まあ、おじい様が買って下さった事は正直嬉しい。


「わが娘ながら、本当に綺麗よ」

ピンポーン
玄関のインターホンが鳴った


「あら、おじい様かしら?」


母が、パタパタと玄関へ向かった。


「ええーー おじい様!」



おじい様に会えるのは嬉しい。私も慌てて玄関へ向かった。
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