背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 玄関には、相変わらずダンディーにジャケットを着こなした、おじい様が立っていた。
 杖は突いているものの、元気そうな姿に嬉しくなる。


「おお美月! 久しぶりだな。本当によく似合っておる。わざわざ見にきて良かった」


「えっ。おじい様、まさか、私の着物姿を見にきたの?」


「当たり前だ。美月の見合いだぞ。見たいに決まっておるだろ?」

 おじい様は、それは嬉しそうに笑顔を見せた。


「えっー 見合いするだけじゃない?」

 私は、大げさなおじい様に言ってみたが、聞いちゃいないようだ。


「さすがわしの孫じゃ。惚れ惚れするべっぴんだ。絶対上手く行くぞ!」

 おじい様は杖を放り投げ、手を叩いて喜んだ……


「お、おじい様……」


 なんだかわけの分からないプレッシャーを感じるのは気のせいだろうか?


「お父様、本当に素晴らしいお着物をありがとうございます。」


 母が、おじい様に頭を下げる姿を、私は、ぼーっと見つめた。
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