背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「そういうものなのかぁ…… 私は、面倒だと思っちゃうかな。相手の気持ちを疑ったり、疑われたり。気持ちを伝えるとか、伝わらないとか……」


「確かに、面倒くさいわね。だけど、好きだから面倒臭い事になっちゃうんだろうね。だって、どうでもいい相手なら、気持ちなんて別にいいじゃない」


「そうよね。でも、そんな勇気は持てないかも……」


「勇気? とかじゃないと思うけど。勝手に面倒くさくなっちゃっているもんよ。だけど、逃げ続ける事も出来るわよね。後で後悔しないかは別だけど」


 真紀は、ちらりと私の目を見た。


「私は別に…… 逃げるとかの話じゃないし……」


「ふーん。じゃあ、あの彼の事、正直どう思っているのよ?」


「だから、無理矢理お見合いした相手だってば!」


「まあ、それは出会ったきっかけにすぎないでしょ。実際、今一緒に暮らしているわけだしね」


「それも全部、ハメられただけよ」


「言い訳は、いくらでもできるけど。でも、自分の気持ちに言い訳しない方がいいんじゃない。美月は、彼と一緒に暮らしてて、楽しくないの?」


 へっ?


 浜辺に建てられてる松明が照らす、真っ暗な海の静かな波の動きが目に入ってくる。

 波の音に耳を傾けていると、彼のクールな仕草や無表情な顔が思い浮かんできてしまった。
 
< 173 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop