背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
「……  楽しいかも……」

「いいんじゃない。それで」

「いいって、何がよ?」

「楽しいって、大事な事じゃない。それとも何? 彼の気持ちとか気になるわけ?」


 ドッキーン。
 なんだ、急に胸が苦しい……


「き、気になるわけないしゃない」

 グラスに残っていたビールを一気に飲み干した。



「何か、彼は言ってこないの? 一応体の関係もあって、同棲までしているんだからさ」


 モヤモヤ……

 うーっ。
 なんか、モヤモヤしてきた。

 店員が持って来てくれた、冷え冷えのビールをグーッと喉に流しいれた。


「同棲じゃなくて、同居だから!」


「同じようなものじゃない。それで、なんて言われたのよ」

 真紀は見透かしたように、ゆっくりビールのグラスを口に運んだ。


 あの、バーに行った夜の事を思い出した。


「もう、他の女は抱かないそうよ。いいっていうまで、私には手を出さないんだって。意味わからない」


「それって、凄い言葉じゃない。もう、美月にしか興味が無いって事じゃない」


「はあ? 体だけって事でしょ? 一体、私を何だと思っているのよ!」


「ほー。美月は、気持ちも自分にあるって言って欲しいのよね」


「そんな事言ってない!」


「あ~あ~ 面相臭い人達ね。でも、あんた達の両親、よく見つけたわよね?」


「どういう事?」


「だってさ、美月は料理は上手だけど、片付けは下手じゃない。その反対に、彼は掃除が得意で食べる事も好きそうよね。その上、ダラダラ、ゴロゴロしている美月に文句言うわけじゃなさそうだし。そして、彼は女好きよね。そりゃ美月の裸なんて見たら、そりゃこうなるわ」


「何よ、他人事だと思って。こんなの犯罪だからね」


「そう? 美月だって、身体の相性いいと思ったんじゃない? あんたってさ、仕事している時は、固い美人って感じだけど、家にいる時はふわっとしてるようでいて、身体はエロじゃん」


「何よそれ! 結局、身体目当てって事じゃない!」


「そうじゃなくてさ。なんていうか、ピースがぴったりハマった感じがするけどね。あんなカッコいい男は、二度とお見合いで現れない事は確かよ」

 真紀は、楽しそうに笑いだした。

 何が面白いのよ。
 私は、美味しそうに運ばれてきた、スペアリブにかぶりついた。


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