背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 そこには……

 スーツケースを横に立ち尽くしている彼女が居た。

 すぐに抱き着きたくて、走りかけたのだが……


「み、美月…… どうして?」

 頭が上手く回っていないようだ。


「どうしてって? グアムから帰って来たんだけど……」

「あっ。えっ? 本当に?」


 なんか脳が動き出した気がする。

 えっ?

 ぼやけていたものが、目に映り出した。


「何だ! この部屋!」

 一体どうしてこんな事に! 考えるより早く体が動いた。


「こっちが聞きたいわよ!」


 彼女の声が背中に響くが、ごみ袋を片手に、ペットボトルを拾い集める。
 俺の人生の中で、こんな不始末はあっただろうか?
 こんな部屋で生活していたなんて考えたくもない。
 無我夢中でごみを拾った。


「だから、なんでこんな事になったのよ」

 テーブルの上を片付け始めた彼女が、当然だが聞いてくる。


「ねえってば!」

 彼女が苛立ったように声を上げるが、 言えるわけがない……


「…… と、思って……」


 取り合えず、もごもごと濁してみるが……
 彼女はしつこく聞いてくる。

 ほぼ片付いた部屋に、ほっと息が出来た。


「だから…… 帰って来ないと思ったんだよ……」


「はい?」

 彼女が、不思議な物でも見るように俺を見上げた。
 こういう顔も可愛いと思う……
 その顔に負けた……
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