背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 そこには、彼の両親と私の両親が、ぽかーんと口を開けて座っていた。

「ええっー」
「ええっー」
「ええっー」
「ええっー」

 四人は一斉に大声を上げた。


「どういう事なの?!!」

 彼の母が、半分パニックのような声を出した。


「本日、結婚する事になりました」

 彼が頭を下げた。

「おおっー」
「おおっー」

 彼の父と私のパパが揃って声を上げた。

 彼は、パパの元へ歩み寄ると、深く頭を下げた。


「ご挨拶が遅くなりました事、このような場所で失礼な事は十重に承知しております。私に、美月さんを下さい」

 彼の横に並んで、私も頭を下げた。


「どうぞ」

 パパは、席でも譲るように、あっさりと言った。


「もう。そうなら、そうと言ってよ」

 ママは、状況がやっと掴めてきたようだ。

「この状況で、その恰好で言われるとはなぁ。こりゃ、参った。あははっ」


「悠馬! なんて失礼な事を。湯之原さん、申し訳ありません」

 彼の母が、パパとママに深々と頭を下げた。


「いえいえ、美月も承知の上でやっている事ですし。二人の責任ですわ」

 ママも、頭を下げた。


「という事は、このまま結婚式をすると言う事なのか?」

 彼の父が、驚いてはいるものの、どこか嬉しそな表情を見せた。


「ああ。身近でお世話になっている人と、親しい友人には、父さん達には内緒で声をかけてある」

「おおー。知らなかったのは我々だけか? 普通、両親が知らないなんて事あるのか?」


「まあ、いいじゃないか。皆の思い通りになったんだから」

 開いた扉から、杖を突いたおじい様が入っていた。
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