背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 こんなところで立ってちゃだめだ、座りなさい」

 彼の父が立ち上がって、席を譲ろうとしてくれた。


「大丈夫です。私も気づいたのが、先週の事なので」

 肩を竦めて笑ってみせた。
 彼には、一緒に婦人科に行ってももらった。その時の彼は、今にも泣きそうな顔をしていた。
私の子供だもの、一筋縄ではいかないと思う。でも、この時の彼を見たら、なんとかなるんじゃないかと思えた。



「何て事でしょう。お見合いで、同棲、できちゃった婚だなんて。順番がおかしすぎるわ」

 ママが、大きな指輪をはめた手を額に当てた。


「よく言うわよ。そもそも、お見合当日に私達をホテルに監禁なんて、おかしな事をしたのはママ達でしょ?」

 今までの出来事を思い出し、呆れて言ってみたのだが……


「なんだか、突然の事で混乱しているけど、美月さん、本当におめでとう。こんな息子ですけど、美月さんが居ないとダメみたいだから、よろしくお願いしますね。困った事があったら、なんでも相談してね」


「ありがとうございます。お義母様。いたらない事も多々あると思いますが、よろしくお願い致します」

 私は、頭を下げた。
 なんだかんだ言っても、皆に祝福されている事が、どれだけ幸せな事なのか……
 目の奥が熱くなった。


「そろそろ、よろしいですか。教会の方で皆さまがお待ちです」

 お義兄さんの言葉に、皆が顔を見合わせて立ち上がった。
< 212 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop