背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 庭に出ると、石段があり、彼が手を差し伸べてきた。


「足元気を付けて下さい」

 あらあら、女なれされているようで……


「ありがとうございます」

 私も手を差し出す。

 あー、なるほどね。
 遠くの窓から、両親達がこちらを見ている姿が目に入った。
 親の手前、それらしく振舞っておこうってとこだろう……



「美月さんは、秘書のお仕事をされているんですよね。男性からお声をかけらる事も多いんじゃないですか?」

 はい、出ましたー!
 これは、他で手を打ってくれという合図だな。


「いえいえ、そんな事はないです。忙しく飛び回っておりますから」

 無難に答えた。

 こちらからも、断りの合図を出さなくては……
 あれ?
 なんだっけ?

 彼の名前……


 どうしよう…… 

 あまりに興味が無くて、名前も記憶に残ってない……


 こういう時は、○○さんも、女性がほっておかないでしょうね? 
 みたいな事を言うべきだと思うが……


 名前が……


 誰か、もう一度彼の名前を呼んで下さい……



「おお、悠麻くん」


 祈りが通じたのか、誰かが彼の名を呼んだ。



 そうだ! 
 悠麻って言ってたわ。
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