背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 庭に向かって横に並んで歩く彼女。
 確かに、綺麗な人だと思う。
 特に会話も無く、庭へと出る。


 彼女も俺も、この見合は断る方向にしたい事は間違いないだろう?と、思ったその時、どこからか視線を感じた。

 さりげなく辺りを見回すと、遠くの窓から両親達がこちらを見ている姿があった。


 庭の石段に差し掛かった俺は、彼女の手を取った。
 まあ、このぐらいは紳士としてのマナーってとこだろう?

 きっと彼女も、この見合の行く末を心配しているだろう? 
 お互い身を引きやすくしておくべきだろう?


「美月さんは、秘書のお仕事をされているんですよね。男性からお声をかけらる事も多いんじゃないですか?」

 これは、お世辞じゃなく、本当にそう思っての言葉だが……

 まあ、彼女も、それとなく断りの発言があるだろう?


 だが、彼女はその後の話の続きをしてこない。

 気になり彼女の横顔をみると、何か一生懸命考えているようだ?

 うん?

 ま、まさかと思うが、俺の名前が分からないんじゃないだろうな?
 興味が無いのにも、ほどがあるだろ?


 なんだか変な空気にためらっていると、後ろから聞いた事のある声が聞こえてきた。

「おお、悠麻くん」


 康介さんがやって来た。

 取り合えず空気が変わってほっとした。


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