背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 プルルルル…

 すぐに、繋がった。
 
「はい、はい……」

 いつもの、穏やかなおじい様の声だが、こっちは必至だ。


「おじい様、私よ、美月! お願い、助けて欲しいの……」


 私は、藁をも掴む思いで、おじい様に縋りついた。
 おじい様なら、きっと助けてくれるはず、そう思っていた。


「どうした美月? 着物姿が好評だったじゃろ?」

 私の焦りとは反対に、呑気なおじい様の声がスマホから伝わってきた。


「それより、助けて欲しいのよ!」


 もう一度スマホに向かって叫んだ。


「ホテルのラグジュアリールームへか? 残念だがそれは出来ん。悠麻君なら大丈夫だ…… 
 心配はいらん。わしは美月の事が大好きじゃぞ」


「えっ?」

 ツーツー……
 通話は切れてしまった……
 逃げ出す最後の道が閉ざされた気がした……

 でもなんで?
 おじい様まで知っているの?
 確か、悠麻君と、言ったような……



「どうなってんだよ……」


 向かいから、彼の脱落したような声が聞こえた。

 スマホを手にしたままの彼が、私を見る。
 私は、黙って首を横に振った。


 お互い、大きなため息をついた。
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