背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 そうだ!
 俺は、またもやスマホを手にした。

 同時に彼女もスマホを手にした。
 おじさんに頼もう。おじさんも、このホテルには顔が利く、なんとかなるかもしれない。

 プルルルル…

 すぐに繋がる。


「おお、悠麻か? 見合いはどうだった?」


 おじさんの呑気な声をかき消すように俺は声を上げた。


「頼みたい事がある。ホテルの部屋の鍵を開けてもられるように頼んで欲しい!」


「ああ、そりゃ無理だ。ラグジュアリールームだろ? そんな事したら、姉さんさにどやされる。まあ、そんなに悪い話じゃないだろう? 急な仕事が入ったら連絡するから心配するな。じゃあな」


 ツーツー…

 あっけなく通話は切れた。


「どうなってんだよ」


 俺は頭を抱えた。どうしておじさんまで知っているんだ?


 彼女の方を見ると、彼女が力なく首を横に振った。

 彼女も助けを呼ぶことは出来なかったようだ。


 俺だって三十七年間も生きていりゃ、色々なトラブルをそれなりに乗り越えてきたつもりだ。だが、こんな訳の分からない事は始めてだ。

< 47 / 213 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop