背中合わせからはじめましょう  ◇背中合わせの、その先に…… 更新◇
 食事が済んだら、どうしたらいいんだろうか?

 彼女の姿に、どれだけ我慢が出来るだろうか?

 今にも、抱きしめたくなる気持ちを必死で抑える。
 俺は、こんなに彼女を欲しいと思ってるが、彼女の気持ちはどうなんだろう……
 夕べだって無理矢理、俺に抱かれたようなものなのだから……

 彼女はどう思っているのだろうか?
 いや、俺はどう思っているのだろう?
 身体だけが、反応してしまっているんだろうか?

 ちらりと、雑炊を口に運ぶ彼女を見る。
 ふうふうしながら、一口食べては、目を細める。


 どうして、こんなに気になるのか? 
 見合い相手だからなのだろうか?

 今まで考えた事もない疑問が頭の中に並んでいく。



 これ以上、彼女を見ていたら、襲ってしまうんじゃないかと思う。

 
 なるべく彼女を見ないですむよう、寝室で仕事をする事にした。


 だが……
 ホテルの一室で、バスローブ姿の女と二人きり、気にするなと言うほうが無理だ。


 彼女は、ソファーに寝ころび映画を見ているようだ。俺は、こんなに意識しているのに、彼女は映画を見て、泣いたり笑ったりしている。
ブルブル震えそうになる自分の身体を必死で抑え、パソコンのキーボードを叩いた。


「夕食、何か食べたいものありますか?」


 彼女が、タブレットをスライドしながら寝室のドアから顔を覗かせた。


「あー。好きな物を頼んでいいよ。」


 バスローブの裾から、彼女の綺麗な脚が見えた。

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