約束 ~幼馴染みの甘い執愛~
幼馴染みと初デート?
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雪哉と連絡を取り、次の日曜日に会う事になった。
雪哉からのメッセージはごく簡潔で、『もっと話したい』と言っていた口振りを感じさせないほどあっさりした内容だった。だから愛梨も、実際に会っても一緒にランチをして2~3時間話すだけで終わりそうだと勝手に感じていた。
待ち合わせの場所は、愛梨の家の最寄り駅になった。約束していた午前10時ちょうどに駅に着くと、指定された改札前には既に雪哉の姿があった。
濃紺のカジュアルジャケットに、清潔感がある白無地のシャツとアイボリーのスキニーパンツ。スタイルの良い自分の体に似合う形と色を熟知している。そして爽やかに整えられたさらさらの黒髪と、綺麗に整った顔立ち。これが完璧に揃っていれば、行き交う女性たちが雪哉にチラチラと視線を向けるのも納得できる。
けれど当の雪哉は周囲の女性達の視線など一切気にせず、ずっとスマートフォンの画面を見つめたまま。
「あ、おはよう、愛梨」
そんな雪哉も、愛梨が近付くとすぐに顔を上げてくれた。ぱっと笑顔になって軽やかな挨拶を向けるので、一瞬どきりとする。
なんだか、デートみたい。そう思ってしまうと、自分もちゃんとした格好をしてきて良かったと思う。
最初は恋人同士のデートではないから、もう少しラフな格好でもいいかと考えた。だが100人に聞けば100人が色男だと答えそうな雪哉の隣に、ただでさえ性別不祥な風貌の愛梨が適当な格好で並ぶのは申し訳ない。
色々考えた結果、シンプルでシルエットが上品な薄桃色のワンピースを選んだ。これにオフホワイトのカーディガンとキラキラ輝く綺麗なアクセサリーをいくつか足せば、髪が短くてもちゃんと女の子に見えると思う。多分。
「ワンピースも似合うな。可愛い」
最低でも雪哉が変な目で見られない程度、と思っていたが、目が合った雪哉がストレートな4文字を呟いたので、思わず返答に困ってしまう。