約束 ~幼馴染みの甘い執愛~
幼馴染みのアプローチ
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「玲子メンマ食べて。私これ苦手」
「えー、要らないわよ」
「じゃあ愛梨にあげる」
「ありがとう、友理香ちゃん」
細木友理香、26歳。ゆるふわの長い髪を靡かせ、短いスカートを綺麗に着こなす派手な見た目に反し、英語と中国語と韓国語、日本語も含めると4か国語を自在に操る才色兼備な派遣の女性通訳。
どういう遺伝子にどういう教育を施したら、こんな仕上がりになるのかと不思議に思う。少なくとも、娘の幼馴染みが色気のある美男子に成長していたことを知ったぐらいで浮足立つような、軽い遺伝子ではだめだろう。なんて母親に対して失礼な感想を持つ。
SUI-LENで週に1~2回の業務が始まった友理香は、特に企画部・営業部・マーケティング部に多く出入りしている。海外進出を掲げた新規プロジェクトチームが次の商品展示会にブース出展する事と、その展示会に中国からのバイヤーが多く来訪する事が関係しているらしい。
「うちの会社には慣れたかしら?」
「ぜーんぜん慣れない!」
玲子に訊ねられ、友理香は明るい声で否定しながら胸を張った。はっきりとした口調に、愛梨も玲子も思わず笑ってしまう。
愛梨や玲子は新規プロジェクトのメンバーではない。けれど派遣通訳者である友理香とプロジェクトメンバーは微妙に休憩時間が合わないらしく、1人でいたところを愛梨と玲子が話し掛けた事で、友理香に懐かれてしまった。見た目と違って人懐っこい性格なのが、また可愛らしい。
「友理香ちゃん、ラーメン好き?」
「うん! 日本のラーメンは中国のよりバリエーション豊富で美味しいよ」
「へえ、そうなんだ」
「愛梨は社食で麺類食べないよね?」
「だって汁飛んじゃうもん」
3人でそんな事を話していると、友理香の身体が突然ピクリと反応した。箸を進める愛梨と玲子の背後へ向かって、友理香が右手を上げて振り回す。
「雪哉ー」