しかくかんけい!
「は〜づがれだよ~愛莉ぃぃぃ」
「お疲れさん、ハナ」
今日もこっぴどく全体合奏にやられた私は、フルートを片付けながら愛莉と雑談していた。
すると、お疲れさまです、と言って同じパートの後輩がやって来た。
「ハナ先輩、部長が呼んでます」
「えっ、私?」
片付けが終わったら準備室に来るよう伝えてと言われたらしい。
なんだろう。
もしかして、今日もまたいっぱい指摘されたからもう我慢の限界、とか……?
「つ、ついに……追い出されちゃうのかな?」
「いや、さすがにそれはないでしょ」
「えー、じゃあなに?怖いよ〜」
「んー……」
愛莉も思い当たる節がないらしく、首を傾げている。
「ま、とりあえず行っておいで。それ貸して、やっとくよ」
「あ、愛莉ぃ……」
背中を押され、しぶしぶ音楽室をあとにした。
廊下で楽器の手入れや片付けをしている部員を通り過ぎ、隣の音楽準備室に向かう。
いったんドアの前で立ち止まり深呼吸して、そっと戸を引いた。