しかくかんけい!


ごまかすようにロールケーキをまるまる一気に押し込む。

勢い余って詰めすぎて、んぐ、とむせた私に少し目を丸くした君は、すぐにふっと微笑んで。

すっと手を伸ばして。

ぴっと私の鼻を撫でて。


「ついてる」


その指をぺろりと、舐めた。


「っ…!」


その仕草はすごくすごく、かっこよすぎて、色っぽすぎて、反則だ。

かあっと火照ったのがわかった。

たまらず俯いてケーキだけを視界に入れる。


「可愛い照れ方だこと」


ずず、とコーヒーの音が鳴った。

そんな君は今、すごくいじわるな笑みを浮かべているに違いない。


甘い90分はあっという間だった。
どんどん君への好きが積もってゆく時間だった。
夢のような、時間だった、けど。


『そらっちにしとけばよかったのにね』

あのときのしょーくんの表情が、酷く、苦しそうで。


『彼なら、ハナを大切にできるのに』


切なくて消えそうだった声が、耳にべっとり張り付いて、離れない。



そうしてケーキバイキングのお店を出た私たちは、複合施設になっているこのモールをぶらぶらした。


すると。

< 457 / 525 >

この作品をシェア

pagetop