しかくかんけい!
ずずずず、と4つのすする音が年末だということをしみじみ実感させ、年越し蕎麦なんていつぶりだろう、とか考えて。
湯気が落ち着いた頃、なんか飲みたいね、とハナが言った。
「俺も思ってた。買ってくる、何がいい?」
と言ったそらっちの方を見ると、その器は既にからっぽだった。
「そらっち食うの早っ」
「お前が遅い」
「いやでもあと3口くらいだし」
「行ってくる」
一瞥して椅子を引き、立ち上がろうとする彼は、ふと動きを止めた。
蕎麦を一口すすりながら横目で見ると、彼の着る薄水色のニットが少し伸びている。
ニットの裾を掴んでいるのは、愛莉。
「一人じゃ大変」
「大丈夫だよ」
「私も行くわ」
「まだ残ってるじゃん」
二口めをすすりながら愛莉の器を見れば、あと半分は残っている。
「すぐ戻ってくるわよ」
「すぐ蕎麦のびるよ」
「のびても大丈夫な人なの」
「一人でも大丈夫な人なの」
なんだこの痴話喧嘩みたいなキャッチボールは、なんて思いながら最後の一口をすすって、ガラッと立ち上がる。