しかくかんけい!


「とくべつ以上の感情があんだろ」



それはそれは、

どこまでも濃厚な重低音だった。


その音は宙を舞い、

頭に、肩に、耳に、

重たく、のしかかる。



「……誰だ」

「は?」

「愛莉か?そうか、愛莉の根回しか」


彼女しかいないや、こんなことができるのは。

こくりと頷く。


「……絶対音感だと、聞いた」

「愛莉は知っていたんだね」


そういえば高1のとき、合唱コンか何かでそんな話題が出た記憶があるな。

別に隠しているわけではないが。


「きもいけど同士だ」

「そらっちも音感あるわけ?」

「俺は、音に色を感じる」

「なにそれおもしろいね」


たまにだけど、と言って、夜空を見上げて。

んんっ、とひとつ咳払いして。

喉ぼとけに軽く手を添えたそらっちは、云う。



「“彼はわかってないのよ、本当の愛を”」


急に何を言い出すかと思えば、それは愛莉だろう、女々しい声真似。


「ぷっ、なんとなく似てる」

「“彼が本気で好きなのは、私じゃない”」

「……、」




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