しかくかんけい!


ぐわん、と、世界が歪んだ。


彼から視線を外す。


禿げた木の枝に絡みついた光の粒が、チカチカと色を変える。

赤、青、黄色、紫、緑、桃、水色、白……

いろいろ変わるその表情は、まるで百面相のようだ。


眩暈がした。


まぶたを閉じてもなお、眩しいくらいに、

残像が闇を支配する。




ジャリ、と音がした。

顔を上げる。

長身の背中は歩き出していた。



「ははっ……」


無意識に溢れた嘲笑のような失笑のような。

そんな音はここに置き去りにして、その背中を追う。


隣に並んだ俺をちらりと確認した彼が次に放った言葉は、わずかに鼓膜へ触れた。



「ありがと」


それは極小で、ppppほどに弱くて、
それが聞こえるのは俺くらいだ。


「え、」

「お前がいなかったら、俺は一生気づかなかったかもしれないし、」

「ほんと鈍い男だよねそらっち」

「お前うざいけど、まあ……





 …………感謝、してる、から」



してるから、で反対側へ流れる声。





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