しかくかんけい!
そしてチラリとこちらに顔を向けるけれど、黒いシールドは彼の表情を見せてくれない。
「初めて?」
「うんっ」
「落ちるなよ」
その一言で恐怖を感じた私は、
しっかりその腰を抱きしめた。
「いくよ」
こくりと頷いたのを背中で確認したしょーくんは、スロットルを勢いよく捻った。
ぎゅっと目を瞑る。
そしてぎゅっと、腕にも力を込める。
ぐわんと慣性の法則を体感したと同時に、
ブルーーーン、という重低音が宙を舞った。
しばらくして目を開けると、バイクは大きな橋に差し掛かっていた。
「わーっ、最高〜〜!」
だんだんスピード感に慣れてきた私は、そこから見下ろせる海に歓声をあげた。
ほんのり潮の香りがする。
風が頬を切って、とても清々しい。
きっと駅で見たあのツバメも、こんな気持ちだったに違いない。
「海、行こっかー」
前からそう叫ぶ声がした。
「いいの?行きたーい!」
そう返したら、一段と加速するバイク。