しかくかんけい!
加速するたび、ぐうんと後ろに引かれる。
でもそれとは裏腹に、
私の気持ちは前へ前へと惹かれてく。
さっきから、君の匂いの向かい風が、
私の頬をやさしく撫でるんだ。
強くしがみつく。
ああ、あったかいなぁ。
君の大きな背中に、密着する私の頬。
やっぱりこの背中は、
優しくて爽やかな王子様だ、と思った。
大きくてたくましくて、紳士的な王子様。
頬で感じるそのあたたかなぬくもりに、
“危険な王子様”の存在なんて
微塵も感じられない。
そこにあるのはただひとつ、
あたたかい温度《やさしさ》だけ。
ああ、好きだなぁ。
しみじみと、君への感情を噛みしめる。
加速するスピードに乗せられた私の中にあるこの気持ちも、どんどん、どんどん、
加速していった。
潮の香りがいっそう強くなったと思ったら、目の前は海だった。
「うわーっ、きれい〜!」
バイクを降りて、うーんと身体を伸ばしたあと、防波堤の上に座った。
しょーくんも、私の隣に並ぶ。