しかくかんけい!
■■ ハナside ■■
テスト前の最後の部活が終わり、職員室から借りた傘をさして、愛莉と歩く帰り道。
バケツをひっくり返したような雨のせいで、傘はあまり役に立っていない。
「うわ〜雨すごいね〜」
「異常気象だわ」
歩くたびにピチャピチャと跳ねる雨水のせいでローファーはすぐに洪水になった。
不快な足元で堪らずだんだん早足になって帰宅を急ぐ私たち。
「また明日ね〜!」
「うん、またね」
いつものように駅でバイバイして、改札を通り抜ける。
電車に揺られながら、今日も何も見えない黒い景色を見つめる。
激しさを増す雨は、容赦なく窓を叩きのめす。
時折ピカッと稲妻が走り、はっとする。
私は少し、複雑な気持ちになっていた。
『愛莉ちゃん、しょーくんのこと気になってるんだって』
『しょーくんがソロコン引き受けたの、愛莉ちゃんに近づくためでしょ』
『あんた、邪魔しないほうがいんじゃない?』
そんなセリフが、頭の中をぐるぐる暴れ回っていた。