しかくかんけい!



「ほら、深呼吸」

「すーっ……」


ほんのり畳の香りが胸いっぱいに広がる。

何度か深呼吸すると、不思議と気持ちが落ち着いた。



しばらくしてしょーくんが戻ってきたら、制服ではなくなっていた。

次に通されたのは、さっきの和室とは正反対の広々とした洋室。

グランドピアノが1台、ギターやドラム、バイオリンなど、他にもいくつか楽器がある。


「し、しょーくって何者……?」

「あー、これ母親の。音大の教授やってんの」

「すごい……」


だからしょーくん、ソロコンの話もすんなり通じたんだ。


父親は理事長、母親は教授。

頭のいいしょーくんができあがるのは必然な気がしてならない。



サッとピアノの前に座る姿を見て、なんだか本当に王子様に見えてきた。

私もカバンから自分のフルートを出して、準備する。


「あ、譜面台ならそこに」

「あっ、ありがとう」

「チューナーも一応あるけど、ピアノでいいよね?」

「うん。なんでもあるんだねえ」


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