SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を


……ああ、 結愛……


結愛、 結愛、 結愛……


……俺は、 ……俺は……



「……結愛に、 会いたい……」


素直な言葉が溢れていた。

満足そうに美空が俺に微笑んで、今度は両手を繋ぎ合わせる。


——シュンッ!


「……っ⁉︎」


気付けば違う場所にいた。

雨のそぼ降る繁華街、

何軒かの潰れた呑み屋の間の道を、俺は呆然と眺めている。


「ここ、 この先の路地裏が二人の思い出の場所だよね?」


美空が俺の顔を覗き込む。

街はだいぶ様変わりしたが、この一角だけは懐かしい昔のままを保っている。


「ほら、 早く行って」


美空が俺の背中を押す。


「もうだいぶ前から結愛がそこで待ってるんだ。 こんな雨なのに、 凌駕は来ないって思ってるのに、 それでもそこで待ってるんだ」


「……っ、」


「凌駕が行かないとダメなんだ。 凌駕が行かないと始まらない。 二人はここからやり直すんだ」
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