SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を
「ぼーっとしすぎだ! 昨日だって車にはねられたっていうじゃねぇか!」
「……どうしてそれを……」
「黒木誠に聞いた! 夜にお前のケガを治しに行ったってな! 幸い大事には至らなかったからいいようなものの……お前さえしっかりしていれば全ては回避出来たはずだ!」
「……うん……」
「だいたいお前なあ!」
「はいはい〜、もう十分でしょ〜?」
なだめるようにグリムが言う。
佑影はふいっと横を向いた。
最近佑影は前みたいにいっぱいあたしと話すようになった。
グリムいわく、ようやく吹っ切れたからだと言ってたけど、いまだに能力は不安定らしく、やっぱり少し機嫌が悪い。
「それより聞いた〜? もう一人の王子の話」
グリムが話題を変えてきた。
「もう一人の王子?」
「ほら〜、三年の黒崎蓮先輩の事!」
「……ああ、なに?」
「なんかずいぶん激変しちゃったらしいよ? 今それが話題になってて……」
「……?」
話していると、誰かが目の前にやってくる。
……あれ、 こいつ……
「……あの。 話が……あるの」
前にも会った事がある人物に呼ばれて、あたしは少し席を外した。