SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

「ぼーっとしすぎだ! 昨日だって車にはねられたっていうじゃねぇか!」


「……どうしてそれを……」


「黒木誠に聞いた! 夜にお前のケガを治しに行ったってな! 幸い大事には至らなかったからいいようなものの……お前さえしっかりしていれば全ては回避出来たはずだ!」


「……うん……」


「だいたいお前なあ!」
「はいはい〜、もう十分でしょ〜?」


なだめるようにグリムが言う。

佑影はふいっと横を向いた。


最近佑影は前みたいにいっぱいあたしと話すようになった。

グリムいわく、ようやく吹っ切れたからだと言ってたけど、いまだに能力は不安定らしく、やっぱり少し機嫌が悪い。


「それより聞いた〜? もう一人の王子の話」


グリムが話題を変えてきた。


「もう一人の王子?」


「ほら〜、三年の黒崎蓮先輩の事!」


「……ああ、なに?」


「なんかずいぶん激変しちゃったらしいよ? 今それが話題になってて……」


「……?」


話していると、誰かが目の前にやってくる。


……あれ、 こいつ……


「……あの。 話が……あるの」


前にも会った事がある人物に呼ばれて、あたしは少し席を外した。
< 238 / 295 >

この作品をシェア

pagetop