SignⅡ〜銀の恋人と無限の愛を

「……はい?」


「どうして今更……。 確かに会う約束はしていたかもしれません。でもそれは五年前の事で……今更、オレに何の用があるって言うんですか」


湧人の表情は硬い。

怒ったような、拒絶するような、そんな態度を一樹に示す。


「ああ、いえ、特に用事があった訳ではなく……ただ話を——」
「——記憶を消しに来たんですか」


「……はい?」


「オレの記憶を……。 だって不自然でしょう、今更会いに来るなんて。 何か不都合な事でもあるんですか? 五年前の事で、何かオレに覚えていて欲しくない事があって、それを今になって消しに来たとしか……」


一樹は目を丸くする。


「なるほど……」


納得したように頷いた。


「確かにそう思われても仕方ありませんね。ですが、それは違います。わたしは純粋にあなたに会ってみたかった、話をしてみたかった、ただそれだけの事です」


「でも、だったら何で今更……」


「今更、ですか?」
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